この記事では、“Berg Balance Scale“を評価してADLに結びつけるためのコツをお伝えします。

✔この記事の内容
・Berg Balance Scaleの項目ごとの解釈の仕方
・Berg Balance Scaleと主なADLの関係を知る

 Berg Balance Scale(以下、BBS)は、理学療法士評価の中でもメジャーです。臨床の中での解釈としては、評価の合計点数にて判断することが多いです。しかし、例えば同じ45点だとしてもどの項目が減点になっているかによって転倒リスクの内容が変わります。今回は、臨床経験から項目ごとに影響が考えられる日常生活動作(以下:ADL)【トイレ動作】【移動】【入浴動作】をまとめてお伝えします。

※今回の記事では、BBSとADLを結びつけるところが中心のため、評価方法やカットオフなどは割愛しています。

また、列挙している項目以外の関連がないわけではありません。経験値として、項目と動作の関連性を考察していきます。

トイレ動作

トイレと Berg Balance Scale

✔関連項目
 1. 椅子からの立ち上がり
 2. 立位保持
 3. 座位保持
 4. 着座
 5. 移乗
 9. 拾い上げ
 11. 360°方向転換
 12. 片脚立位

 1~5の項目は、手すりなどトイレ内の環境が整っていれば不安定でも自立可能なこともあります。『9. 拾い上げ』に関しては、足元に下がっているズボンや下着を取る動作を想定します。『11. 360°方向転換』に関しては、便座に座る時の方向転換を想定します。『12. 片脚立位』は、下衣に立位で足を通す事を想定しています。9.11.12は、手すりなどない環境でも対応できる能力です。トイレ動作は、病院や施設、在宅において頻回に評価が必要なADLです。もちろんBBSのみで決まるわけではありませんが、総得点のみで判断するのもまたもったいない話です。ひとつひとつの項目に意味をもたせましょう。

移動

移動と Berg Balance Scale

✔関連項目
 11. 360°の方向転換
 12. 踏み台昇降
 13. タンデム立位
 14. 片脚立位

 歩行に関しては、11~14の項目に着目します。平地を一人でイレギュラーもなく歩行できることはほぼありません。『11. 360°の方向転換』では、サイドステップやクロスステップを用いること、『12. 踏み台昇降』『14. 片脚立位』では片脚での耐久時間が必要なこと、『13. タンデム立位』では支持基底面の狭小化での保持が必要なことがポイントです。これら全てが、歩行中においてのまたぎ動作(片脚時間の延長)や人を避ける・追い越す動作(歩幅の変化・ステップ方法の変更)、などにつながります。評価の際は、そういった視点で見る事で深みがでます。

入浴動作

入浴と Berg Balance Scale

✔関連項目
1. 椅子からの立ち上がり
3. 座位保持
4. 着座
14. 片脚立位

 洗体動作またぎ動作について考えてみます。洗体動作を座位で行う事を前提に考えると『1. 椅子からの立ち上がり』『3. 座位保持』『4. 着座』が関連します。手すりがあれば1.4は安定性が増します。座位保持に関しては、上肢動作や体幹回旋などがプラスの動作となり通常の座位よりも安定感が求められます。BBS項目ではないですが、入浴評価が前提にあるならば座位評価時に、バンザイや体幹回旋、結滞動作やもの拾い動作などを合わせてみます。短時間できるのでおススメです。

 またぎ動作に関しては、『14. 片脚立位』について考えます。片脚立位の評価時に、挙上側の足を出来るだけ高く上げるように指示してみます。すると最大の保持能力が評価しやすく、またぎ動作に直結しやすいです。また座位でのまたぎ動作においては、先ほどの座位での安定性が重要です。

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その他項目

6. 閉眼立位保持

 閉眼することで、視覚での制御が不能になります。外界の情報の8割は視覚から得ていると言われています。つまり、視覚代償がない状態でのみフラツキが強くなるとすれば様々な注意が必要となり、他の項目の考え方も少し異なります。例えば、『12. 踏み台昇降』の評価の際に特に問題がない人が『6. 閉眼立位保持』でフラツキが明らかに強くなる場合です。視覚代償により安定感を保証しているとすれば、日常の中で物を運びながら・会話をしながら・考え事をしながら昇段するような二重課題になると視覚の注意が段以外の事に向かう可能性があります。そうなれば、躓きによる転倒の可能性もあります。こういった評価の関連性もあるので、工夫次第ではいろいろな可能性をあらかじめ想定できます。

7. 閉脚立位保持

 支持基底面が狭小化している際の安定性ですが、通常の立位保持の応用としての考えとADL面では立位スペースと合わせて考えることもできます。立位スペースとは、文字通り人が立っているスペースの大きさです。例えば、日常的な場面として混雑している場所(エレベーターや公共交通機関、店など)やそもそもスペースの広くない場所(エスカレーターなど)です。また、着物など服装によっては支持基底面を広げられない可能性もあります。これらはあくまで一例ですが、大事なのは対象者の生活を聞きながら評価項目と一致することがないかを考える事です。

8. ファンクショナルリーチ

 これは、日常的な場面で言えば前方の物品を把持する際に使用します。しかし、この評価で大事なのは重心をいかに前方に移動・保持できるかです。重心の前方移動が阻害されると段差昇降・歩行速度・またぎ動作など様々な場面で動作が非効率的になります。この評価の点数が低い場合は、立位・歩行動作全般でのリスクを考えます。

10. 振り返り動作

 よくある場面のリスクとして非常に多いのが、不意に呼びかけられて振り向いた際の転倒です。ただし、立位時と歩行中では厳密には少し異なりますが、BBSから推測する意味としては十分かなと思います。その他、後方確認や後進の際などに振り返り動作が用いられます。特に円背の高齢者では、体幹の可動性が低いにも関わらず筋力低下による股関節や足部での制御が困難なケースがあります。その場合に、着座に向けて後進しながら確認のために振り返るような動作ではかなり転倒リスクが高いので、注意が必要です。

まとめ

 何度も言いますが、BBSは総得点だけを見ているのは非常にもったいないです。項目を意識しているとADLとの関連もみえてきます。せっかく行う評価が意味のあるものに出来るよう参考にしてみてくださいね。

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Taisuke

転倒予防に関して様々なお役立ち情報を投稿します。 【About me】 理学療法士10年目・認定理学療法士(介護予防)・国際情報の配信事業部会員(理学療法士協会)・地域での講演や健康チェックなど予防活動が専門です。

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