“運動習慣“を付けるための指導に困った事はありますか?

“運動習慣“ストレッチ

 運動習慣を身に付けることは、健康を維持・改善していくためにとても大切なことです。しかし、ほとんどの人がそれを分かっていても難しいのが事実です。また、理学療法士の多くが運動療法を用いる場面で、1対1で運動を一緒に行うよりも、自主トレーニングを実施してもらうように指導する事に難しさを感じている人も多いと思います。

 習慣を新たに作り出すのは、『自分の意志』であっても『指導すること』であっても容易ではないのです。しかし、出来ませんで終わるわけにもいきません。特に地域講演のように多人数に話をする場合はより難易度が上がります。今回は、運動習慣に至るまでのステップを分解して考えてみようと思います。どこで躓きやすいか知るだけでも対策が出来ます。

運動習慣を分解する

“運動習慣“分解する

ステップ1 意識する

 まずは、自分に適した運動・指導された運動を知って意識するという段階です。ここでは、まだ運動するという行動には移っておらず『へぇー、なんか良さそうな運動あるんだ』と認識した段階です。そもそも運動する事が重要との認識はほとんどの人があるため、ここは問題なく認識する人が多いと思います。特に、明らかに自分の問題解決につながりそうな運動(膝痛のため、ダイエットのため、糖尿病のためなど)はより意識にのぼりやすいです。理学療法士も、『あなたにはこの運動がおススメです』と紹介すれば容易に意識させることができます。

“健康寿命“意識する

 しかし、問題なのはこのステップで介入が終わる場合が多いことです。つまり、『良さそうな運動ありまーす。では、後はお願いしまーす。』になっている事が非常に多いという事です。まだステップ1ですが、意外と多くがそうです。そして、もうひとつここでしておく大事なことがあります。それは、【運動をする目的(目標)を実行する本人が他者と共有すること】です。例えば、登山がしたいから来年までに足の筋力を付けたい(そのために運動を習慣化したい)や、グランドゴルフがしたいから体力を落としたくない(そのために運動を習慣化したい)といった目標です。そして、この共有するという事ですが、出来るだけ多くの人に自分の目標を伝える方が良いです。なぜかというと人は、やりたい事を宣言すると、それだけで義務感が生じ行動に結びつきやすいからです。職場の全員に、この資格取ります!と宣言したらもう後には引けないですよね?それと同じです。声高らかに宣言してもらいましょう。

ステップ2 行動する

 これは、実際に運動を行うことで、とりあえずやってみた段階です。ここに至るまでに重要なことがひとつあります。それは【腑に落ちている】ことです。腑に落ちるとは、理解し納得している状態を言います。理解したけど納得していないではダメという事です。『それが良いのは分かるけど。けど。』では、運動はおそらく始まりません。運動を指導された側が、その運動に対して腑に落ちる、しっかり納得しているかを確認しましょう。そして、具体的に理解しておく内容は方法・運動のメリットが最低限です。例えば、スクワットを習慣化する場合は、まず足の動かし方や重心の位置・注意点など指導者と同じ動きが出来るようにします。そして、それをすることで、どうなるか?歩行スピードが上がる・坂道が楽になるなど様々なメリットから腑に落ちそうなものを選択し説明します。まず、1回1人で実践できるようにしっかりと指導しましょう。

“健康寿命“行動する

ステップ3 正の感情

 正の感情つまり、やっている運動自体に『楽しさ』『喜び』『充実感』『息抜き』など正の感情が加わることが大切です。ここがかなり難しいポイントだと思います。なぜなら【運動=めんどくさい】というイメージが割とあるからです。めんどくさいものに正の感情は乗っからない事が多いです。では、どうすれば良いか?方法を3つ紹介します。一つ目は【報酬】を利用する事です。例えば、スクワットの運動をした後は好きなお菓子を食べる、1週間続けられたらほしい〇〇を買うなどです。これは、習慣化されれば必要なくなる事も多いのできっかけ作りには良いと思います。ただ、運動と報酬のお菓子のバランスは考えてください。二つ目は【習慣を重ねる】という事です。個人的に一番良いのが、運動+貯金です。お金が貯まるのは明らかに嬉しいことだと思うので、スクワットしたら100円入れるなど明らかに後の報酬が分かりやすいものと組み合わせるのが良いです。三つ目は、【仲間と一緒にする】という事です。これは、習慣化の面でも仲間がいるなら一緒にやるのがベストです。一緒に何かをやるという事自体正の感情が生まれやすく、人が関わると続けやすい方もいるので、可能な方はこれが一番おススメです。

“健康寿命“正の感情

ステップ4 意識する

 これは、最初の意識するとは別で毎日の中で意識する事です。習慣化されたもの(例えば歯磨きなど)は、どのタイミングでしようかななど大体同じ時間に意識されますよね?それと同様に運動を1日のうちどのタイミングでしようかなという意識が持てるようになると習慣化はすぐそこです。実際に、運動指導の中で関われるのはステップ3までのサポートかなと思いますが、そこまで行けたらこのステップ4は自然に出てくると思います。この流れを知った上で指導すると指導側の意識も変わってくると思いますので参考にしてみてください。

 1週間の運動の組み立てが難しい方は、サポートツールとして転倒予防7Daysも参考にしてみて下さい。

地域講演の場では?

 今、お伝えした流れは1対1の場面ではもちろんですが、転倒予防教室などのように多人数の場でも指導は可能です。この場合、直接全員と対面して話すわけではないので、紙に書いてもらったり言葉ではなく文字として表現してもらいます。そして、注意点は運動の選択です。1対1では少々難しいものでも直接指導可能ですが、対多数の場合は困難ですので、比較的難易度の低いもの・理解しやすい運動を選択します。こういった状況に合わせた選択が可能なのも専門職のスキルであると思います。

まとめ

  • 自分に適した運動を認識する
  • 運動の目標を他者と共有する
  • 運動自体が腑に落ちる・納得する
  • 運動・方法のメリットを理解する
  • 継続のために①報酬を利用する
  • 継続のために②習慣を重ねる
  • 継続のために③仲間と一緒にする
  • 毎日の中で意識する

 これが運動を習慣化するまでのステップとして考えられるものです。どれかが抜けても継続が困難なります。継続を促すのは簡単なことではありませんが、これらの事を頭の片隅にいれながら指導を継続してみてください。