今回は、橈骨遠位端骨折後に忘れがちな事についてお伝えします。高齢者に多い骨折のひとつで、病院では私も多くの患者さんを経験しています。訓練をしている中での疑問と考えをお伝えしたいと思います。

記事で分かること

  • 橈骨遠位端骨折術後の考え方
  • 歩行に影響する事
  • 退院する時に考える事
前腕の骨

橈骨遠位端骨折術後に考える事

まず最初に転倒予防を検討する

 病院では比較的多く見る疾患であり、高齢者に多いものでもあります。手術後には訓練に入ることも多いと思いますが、どのように関わっていますか?個人的には、最初の転倒予防に目が向いていない人が多いと感じています。

  1. 手術後の歩行評価は見逃される

 橈骨遠位端骨折を受傷する患者さんの特徴は、比較的活動性が高い人ということです。なぜなら、転倒しようした時に咄嗟に手が出るくらいの身体能力を持っている方が多いからです。そのため、術前に歩行自立をしている人は、手術後にもかかわらず直後から歩行自立の場合が大半ではないでしょうか?しかし…

ホントにそれで良い?

 という疑問です。理由は、そもそも転倒受傷の時点で『転倒歴』になるからです。まずは、事故なのか転倒なのか、その状況を聞きましょう。『いつ・どこで・どのように転倒したのか?』かなりヒントになります。解決できる問題なのか?出来ない問題なのか?2度目の骨折を起こさないためにも重要になります。

2. きちんと評価をしよう 

 一見歩行自立が可能そうなこともありますが、いったん落ち着いて評価しましょう。BergBlanceScaleのようなバランス検査を用いる事も必要です。意外と、転倒の要素が見えにくくなっており見逃してしまうこともあります。病棟の歩行自立検討に関しては、以下をご参照下さい。

歩行に影響する事

 橈骨は、Gurltの表によると骨癒合までが5週間Coldwellの表によると機能回復までに2-3か月を要すとされています。実際に、外来通院患者も大きくそこから外れていない印象です。そのため、少なくともその期間は歩行にも影響が出ます。ひとつは『歩行補助具』の問題。例えば、普段T字杖を使用している側の骨折であれば影響はかなり大きいはずです。歩行の安定性の評価と歩行補助具の使用方法の検討は必須になります。もうひとつは『非骨折側に依存してしまう』問題。例えば、掃除や物を運ぶなど歩行しながらの上肢動作が非骨折側に依存してしまうため、不安定になりやすく普段は転倒しない状況でもリスクとなる場合があります。

退院する時に考える事

 まず、『歩行補助具の変更・追加』が必要かを判断しましょう。活動量の高い方は、そもそも歩行補助具に後ろ向きな場合も多いです(見た目の問題など)。そのため本人とよく話し合い、能力ばかりに捉われないようにしましょう。退院後、使用されなければ意味がありませんので。また、日常生活での注意点を伝えましょう。主には、上肢動作+歩行動作となるものです。高齢者では、分配性の注意が低下しやすいとされています。疼痛やギブス固定など骨折箇所に注意がそれてしまうと足元がおろそかになって転倒に至るケースがあります。認知面に問題がない人は、複数課題時のリスクをまずはしっかり説明した上で、日常的によく行う動作に合わせて持ち方などの指導を行いましょう。そして、再骨折予防のため自宅での運動を指導しましょう。

橈骨遠位端骨折の転倒予防チェックリスト

さいごに、術後から退院時までのチェックリストを作ってみました。ヒントにしてみてください。

橈骨遠位端骨折後の転倒予防チェックリスト

 

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Taisuke

転倒予防に関して様々なお役立ち情報を投稿します。 【About me】 理学療法士10年目・認定理学療法士(介護予防)・国際情報の配信事業部会員(理学療法士協会)・地域での講演や健康チェックなど予防活動が専門です。

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