今回は片脚立位に関してお伝えします。片脚立位は、評価や訓練によく用いられるものですが、実際に改善していくにはどうしたら良いでしょうか?さらにはどのくらい出来れば良いのでしょうか?出来るだけシンプルにポイントをしぼってお伝えします。また、片脚立位は病院だけでなく地域や施設など様々なところで簡単に行える評価ですが、だからこそ少し深ぼってフィードバックできるとより行う意味合いが強くなります。+αの知識として参考にしてみてください。
この記事で分かること
- 片脚立位を安定させる方法
- 片脚立位が関係する評価
- 片脚立位の目標値
片脚立位動作を考えていきますが、今回は足関節にポイントを絞ってお伝えします。片脚での静止立位では、足関節が柔軟な対応をすることでの安定性が必要です。これをいかに実現させるかがポイントになります。もちろん他にもいろいろな要素はありますが、今回はここに着目します。
目次
足関節を柔軟に対応させるには?
足部から片脚立位を評価
足関節が不安定な方の場合、臨床的によく経験するのは偏平足または、荷重時に内側縦アーチが低下するパターンです。内側縦アーチの評価は、【Navicular drop test】という臨床の中で、比較的簡便に用いることができるツールを使用します。もちろん地域の健康チェックや施設でも使用可能です。
![Navicular drop test説明](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/fd6f8cd9c9467cf9606682ae8e731ff2.jpg)
舟状骨は、内果よりおよそ2横指前下方にある突出した箇所です。評価する際は、出来るだけ非荷重肢を上げることでより負荷が高まり、本来の姿勢制御が評価しやすくなります。
内側縦アーチの評価をして足部の状態を把握したら実際の片脚立位で観察するポイントは2つです。
- 足趾(IP関節)が屈曲しすぎていないか?
- (内側縦アーチ低下の場合)一時的に支持を作成し安定するか?
![足部の関節説明](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/cd98e89156e4a9d59c05be3a5eb35f38-672x504.jpg)
足趾を見た時にIP関節が屈曲して足を固定した状態になると、二関節筋などの外在筋優位となり柔軟に対応しにくい状態と判断できます。それに対しMTP関節屈曲で対応している場合は内在筋優位となっており、柔軟な対応が可能で姿勢を安定しやすくなります。Navicular drop testで内側縦アーチが低下している場合は、フェルトや布など触って不快にならないもの何でも良いので(お互い良ければ評価者の指を踏んでもらうでも良いです、私は物がない時たまにします。)内側縦アーチ下に挟みます。少し補助することで片脚立位の自覚的安定性も含め変化があるかを評価します。
評価に対する対策
①内側縦アーチが低下しアーチ補助にて安定性が改善する場合
インソールの検討です。また、いまは安価の既製品でも内側縦アーチ補助の部分インソールが売っています。それだけでも足部の負担が軽減されると思います。内側縦アーチの低下による偏平足は、足部の変形だけではなく、外反母趾や変形性膝関節症など他の疾患とも関連することが多く、早期の対策が望まれます。
②足趾IP関節の屈曲が強い場合
代表的な運動として、タオルギャザーがあります。ポイントはMTP関節からしっかり屈曲することです。
![タオルギャザー説明](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/53749112fb2db58e3bac8f8afe761b8c-672x504.jpg)
片脚立位が関係する評価
片脚立位は、様々な評価に組み込まれています。今回は、そんな中でいくつか紹介します。評価自体は、部分的に片脚立位が関わるところを抽出しています。そして、それをもとに目標値も考えてみたいと思います。
ロコモーティブシンドローム
立ち上がりテストの中で、立位後の片脚立位保持の課題があります。3秒間だけですが、立ち上がり後いかに安定して保持できるかがポイントになります。
![片脚立位ロコモ](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/5f63f49b6b7d98988e1002a4a4f2d6d5-2.jpg)
SPPB(Short Physical Performance Battery)
地域でも良く使われる評価ツールです。難易度が高くないので、多くの人に実施できることも特徴です。その中で片脚立位10秒が、課題の中に含まれます。
![片脚立位SBBP](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/04f86ea9c104d100d663feb8a9a65769-1.jpg)
サルコペニア
このツール自体は、設備の整った医療施設や研究を目的とした評価で用いられます。その中で、片脚立位が部分的に関わっています。
![片脚立位サルコペニア](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/63ead695680eb0c485fa3f134844052f-1.jpg)
運動器不安定症
これは、疾患概念の判定に片脚立位が使用されています。15秒以上でクリアです。
![片脚立位運動器不安定症](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/0ae7c62e50dc705df75843b104ce66cd-1.jpg)
米国疾病予防センターのプログラム
米国疾患センター(CDC)は、STEADIという転倒予防をフローチャートにして紹介しています。その運動機能の箇所にも片脚立位が使用されています。下の図は、最初の部分を一部持ってきています。
![片脚立位CDC](https://www.tentou-labo.com/wp-content/uploads/2021/12/2839ab849d9b2c81bd86f4778e9767e3-1.jpg)
片脚立位の目標値
片脚立位に関係のある評価を見ていきました。多くが10-15秒程度の保持を基準にしているものが多いです。単体の評価でも様々な秒数が転倒と関連など示されてきましたが、逆に転倒の指標にはならないとの結果もあります。しかし、片脚立位は発達において歩行以上の高度な動作であり、老化においては歩行よりも先に困難となる動作です。そのため片脚立位が維持できているというのは、それなりの歩行機能を有している考えて間違いはないと思います。
個人的には、10-15秒がフラツキなく安定して出来るということがひとつ目安として良いのではないかと思います。フラツキながらなんとか60秒より15秒しっかり安定は可能という保証を目標にしていくのが良いと思います。